ポリヴェーガル理論によると、人間の心理状態は自律神経、つまり生理の状態に支配されているという。
3つの自律神経系のどれが優位かで、その人の心の持ちようが決まってしまうわけだ。
そして心の持ちようが行動を決める。
ということはつまり、人間の行動は、自律神経のあり方で決められている、ということになる。
なんて優しい考え方だろう。
自分が変でだらしないのは「人格のせい」だと言われたら、救いがない。
しかし「自律神経が背側迷走神経優位になってるせい」と言われたらどうだ。
ただただ生物として当然の生体反応なんだとわかれば、自分責めをする必要もないし、変わりようがある。
腹側迷走神経優位に持っていけばいいのだ。
自分に優しいだけではない。ポリヴェーガル理論を知ると、他人にも優しくなれる。
誰かの理解不能な行動も、「自律神経が乱れてるんだなー」という目線で眺めると、この人も大変なんだなぁ、という同情が先立ってしまい、怒れなくなる。
先日ピザの配達先で、何度呼び鈴を押しても出てこないことがあった。15分ほど粘った末に帰ろうとしたら、寝ぼけた客が出てきた。謝る態度も見せず、ドアをちょっとだけ開けて、顔も見せずに金銭のやりとりを行った。
以前ならふざけるな案件だったが、怒れない自分がいた。
つい15分ほど前に自分で注文しておいて、ピザ届くまで待てずに寝ちゃうって、やはり自律神経が乱れていると思わざるをえない。
顔を見せないのも、背側迷走神経優位のあられかもしれない。買い物に出られないし料理する気もおこらないからピザ頼むのかしら。
一事が万事こんな感じだったらめちゃくちゃ生きづらいだろうなー、この人も色々あったんだろうなー、この人に幸あれ、という気持ちにすらなる。
他人に怒らなくなるのは、自分の精神衛生にも大変よい。結局、自分への優しさと他人への優しさは、同じものなのかもしれない。
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