欲深さ

頭でどれだけ良いと思える行いでも、それを続けられるかどうかは、必要性のあるなしにかかっている。

今やってる行為に必要性があるかどうかの見分け方は、「それをやってて楽しい」ではなく「それをやらないと気持ち悪い」があるかどうかだ。

これ以上落ちようのないどん底から這い上がる為ではなく、今居る場所からさらなる高みへ登るためのモチベーションを夢と呼ぶ。

…だとすると、夢のある人とは、現状に満足できず、自分の理想に到達しない間は気持ち悪く感じる人、ということになる。なんのことはない、欲深い人ではないか。そう思い至ったと同時に、自分には欲が無いと気付いた。そして欲が無いことを、なんとなくいいことと捉えていた自分にも気づいた。

毎日好きなだけ油も塩も使い、日々の食事に満足感を得られるようになったせいか、最近、食以外にも少しづつ欲が出てきたように思う。シンプルで美しい食器や料理道具を買い揃えたい、もっと着心地の良い自分に似合った服を着たい、もっときれいで暖かく、居心地のよい部屋で暮らしたい、などなど。じゃあどうしようと考えた時、バイトを増やそうと閃いた。閃くほどの結論に聞こえないかもしれないが、俺にとっては閃いたのだ。

色々欲しい、だから働く。なんかどんどん考え方が普通になっていくように感じる。そして今まで俺は「普通はかっこ悪い」という観念を持っていたことを認めざるを得ない。

しかし、バイトを増やして無印良品で買い物する、を普通と感じる捉え方、そして普通はかっこ悪いという観念は、一体いつから、どうして俺の頭の中に入っているのだろうか。そもそもやったこともないのに。どう考えても根拠がわからん。 普通ってどういう意味なんだろうか。わからん。ならどうするか?やってみるしかない。

今俺は、普通になりたいと静かに燃えている。それ自体ちょっと普通じゃない気もするが。

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