すべりひゆ 甲州もろこし

スベリヒユ。塩水で美味しそうな色になるまで茹で、まずはしょうゆだけかけて食べる。甘いような苦いような、独特のあと味があるが、ヌルヌルの食感が美味しい。全然ありである。

一度存在を知ると、至る所にはえている事に気付く。隣のカキ畑など、地べた一面に生い茂っている。飢饉の際はこれで食いつなごうと思う。

街中にあるうちの畑の獣害は猫のウンコくらいだが、祖母が勝手に野菜を収穫してしまう、祖母害がある。昔百姓だった記憶が手に残っているのか、成っている実を見ると、食べるわけでもないのにもぎ取ってしまうのだ。

それを見越して、祖母の目につきやすいスペースにはキュウリを植えたのだが(どんどん収穫しないと木が弱るので、とってくれるとありがたい。)とうとう別の場所にあるもろこしが見つかってしまった。甲州もろこしという地方野菜で、カチカチに完熟した実を粉にして食べる古いタイプのもろこしなので、まだ収穫されても困るのである。といっても取られてしまったものはしょうがないので、とりあえず食べてみた。

未熟でまだ硬くなりきっていない粒をポロポロもいで、多めの油で焼く。パチンパチンとはじけ、いい匂いが広がり、期待がふくらむ。おいしそうな焦げ目がついたところで塩をかけて食べる。

おやっ!種苗屋さんは「びっくりするほどまずい」といっていたが、そんなことないぞ。まずくない。全然いける。というかうまい。かなりうまい!粉質の食感はスイートコーンとは全く別の味わい。みずみずしいフルーツというより、ジャガイモとかの、腹にたまる主食系の食感。硬いグミくらいのはごたえがあって、噛めば噛むほど旨味が広がる。超高級コーンスナックって感じで、ビールのつまみに最高だと思う。

先入観があてにならないことは雑穀の美味しさで体験済みだったが、やはり昔のもろこしも美味しかった。

より速く調理でき、味がやってきて、咀嚼できる、というファーストフードの土俵で勝負したら勝てないけど、

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