ブラックミュージックその1

師匠いわく、源泉を掘る作業の一つは、自分の身体を探求することらしい。

 

歌にしろギターやピアノにしろ、演奏は身体を使って行われる。ならば身体そのものの使い方に上達して、身体自体のスペックを上げれば、一気にすべての楽器が上手になるという理屈になる。

 

顧みると、自分が音楽に夢中になったきっかけはブルースだった。ブルースマンたちがかっこいいのは、歌も楽器も自分ひとりで演奏するところ。自分もそれに憧れて、ギター抱えて下手な歌をうたいはじめた。

 

その後、ブルースに限らず黒人音楽の独特な魅力に魅了されたのだが、黒人ミュージシャンにはマルチ奏者が多いことに、ここにきてハタと気づいた。ギター弾く傍ら謎のピアノ弾き語りを残した多くの戦前ブルースマンからスリムゲイラード、プリンスにスティーヴィー・ワンダー。シャカカーンのドラム。ちょっと思い出すだけでも枚挙にいとまがない。

 

今考えるとこれは、彼ら彼女らが、楽器の演奏テクニックではなく、身体の能力で、音楽を奏でている証拠なのではないだろうか。さらに言えばそれが、自分が黒人音楽に感じる魅力の根源なのではないだろうか。

 

JBは歌もダンスも唯一無二だが、しかるべき専門学校で歌とダンスの教育を受けたとは思えない。歌も踊りも凄いのは間違いないが、結局何が凄いのか?ときかれたら、身体がすごいのだと思う。

 

続く

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