虫眼鏡で光を集めるように、声の響きを顔の一点に集められるようになると、喉に力を入れずに出したあくびみたいな柔らかい声も、喉に力を入れないまま、力強く響かすことができる。
響きは顔面で作るので、口は力まずポケーっと開けていればいい。
高い音程ほど、口を大きく開ける必要性が生じるが、普通に口を大きく開けるようとすると、喉に力が入ってしまう。
喉をリラックスさせたまま口を開けるための、別の力が必要になる。
それはうなじの力だ。
口を、うなじの筋肉で後ろに引っ張って、内側から口を開ける。
外から見ればただ口を開けているだけにしか見えないけど、当人としてはそんな感覚で口を開けている。
響きの焦点を合わせる力と、うなじで引っ張る力が拮抗するほど、喉には力を入れずに、高い声を力強く響かすことができる。
体のパーツは、全てが繋がりあって機能している。うなじの力も、背中やお腹などの、全身の呼吸筋とリンクしている。
なのでうなじの力で声を出すのは全身運動だ、高い響く声を出し続けても喉は枯れないが、翌朝起きるのがだるいくらい疲れる。
疲れるけど、局部的に喉が痛い、みたいな不快な疲れではない。プールの後みたいな、全身にどこかとろーんとした心地よさが漂っている疲労感だ。
全身で声を出す→翌朝しんどい→それでも大きい声を出すとテンションが上がって元気が出る→翌朝しんどい
というスパイラルの今日この頃だ。
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