ヘビに睨まれて固まってしまうのはカエルに限ったはなしではない。
逃げた方がいい。というか、絶対逃げるべき、、、、と頭ではわかっているのに、なぜかそれができない。
これまでの自律神経のモデルでは、そんな状態を説明することができなかった。
結果「逃げなかったのは、逃げなかったお前が悪い」という結論に行き着く。
この自己責任論が、救われるべき被害者、または傷ついた自分自身を、なおさら責め、傷つけてきた。
そんな悲惨な負のスパイラルを打ち壊すのがポリヴェーガル理論だ。
逃げることすらできなかったのは、意思云々の問題ではない。単に背側迷走神経優位の状態による、生理反応でしかなかったのだ。
寒いと震えるとか、お水飲んだらおしっこしたくなるとかと一緒で、自分の意思でコントロールできるものではないのである。
そして生理反応の働きは、いつだって、自分の命を助けるために起こっている。
この理解は、終わりない自分責めを止めてくれる。
ポリヴェーガル理論は、今まで自分でも理解しがたかった自分の状態を理解する助けになると同時に、その場所から抜け出す方法も教えてくれる。
現在の自分の生きづらさの原因が意思薄弱や人格の問題だったとしたらお手上げだし、すでに起こってしまった出来事を変えることもできない。
しかし、生理現象が原因だったとしたら、そこは変えようがある。生理の原因になる自律神経の状態から整えていけばいいのだ。
自律神経へアプローチする方法は、その人によって、心身両面、その人に合った様々ないい方法が見つかるはずだ。
これまで自分がなんかいいなと思ってはじめたことや、古来からなんとなく世間で健康によいとされてきたことも、ポリヴェーガル理論から眺めてみると、その理由が生理学的観点から明確に説明できてしまう。
次からはそれらの、自分の生活の中に発見した日々のポリヴェーガル理論の実践について書いていきたい。
PTSDや鬱、自閉症など、これまで決定的な打開策が見つからなかった生き辛さ。ポリヴェーガル理論による心身両面のからのアプローチは、これらの改善にも効果を挙げているらしい。
トラウマサバイバーの悲惨な体験と生きづらさ、そしてそこからの復活の実例を読むと、人間の可能性に感動してしまう。
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