演奏法ではなく、楽器自体のメンテナンスに方向転換した鳩山メソッド。
歌い手の楽器であるところの身体。これをメンテナンスするメリットは声だけにとどまらない。
結局、すべての人間生活は体を使って行うので、体のクオリティが上がれば、活動の全てのクオリティが上がることになる。
身体の使い方が上手くなることで、練習してないのにギターが上手になっていたり。意識したわけではないのに「いい姿勢」と人に褒められたり。疲れにくくなったり。
考えると、生活を向上させるために一番コスパの高いお金の使い方は、体を整え、鍛えるために使う事ではなかろうか。
ファッションにお金をかけるより、スラッとした姿勢で立てた方がかっこいい可能性もある。
高級オーディオを買い揃えるより、耳と静かな精神状態を整えた方が音楽はよく聞こえる。
高級料理を食べにいくより、プリップリの内臓をキープした方が、美味しさを味わえる。
高級ギターを買い漁るより、意のままに動く指を作り上げた方が、理想の音楽に近づける。いくらでも書ける。
そして体と心は一体だ。体の調子がいいと、精神状態も安定するので、機嫌よく過ごせる。機嫌よく過ごしたい。
「ロルフメソッド」なる施術を受けはじめた。
ロルフ博士という人が開発した手法で、骨でも肉でも内臓でもない、それらを包む「筋膜」に働きかける手技療法だ。
筋膜の、硬くなったりシワになった部分を、アイロンをかけるように伸ばすことで、体全体の調和を取り戻していく。
10回のセッションで、重力に逆らわない、最小限の力で動ける理想の体のあり方を取り戻す。らしい。
筋膜。これまで、そんな膜がある事すら意識したことがなかった。
それだけに、自分だけでは気づけなかった自分の体に対する気づきを得られるのではないかと興味をもった。
松本近辺で受けられる場所がないかと探したら、近所にあった。改めてこの街には、自分の欲しいものが何でもある。
現在2回目が済んだところだが、果たして、期待通りに、予想外に進んでいる。
体の表層が整ってきたせいなのか、体の奥で眠っていた、首から肩にかけての、恐ろしいほどガッチガチのコリが意識にのぼるようになって、立つのが楽になるどころか、むしろ背筋を伸ばしてピンと立つのがしんどくなっている。
こんなガッチガチのコリが自分の体の中にあるなんて今まで気づかなかった。腰や腿など、全身の筋肉を押されるのだが、それらとの比較ではじめて気づいた。指が筋肉に全然入っていかない。まるで板が入っているみたいにガッチガチに硬い。思わず笑っちゃった。
今までは無意識で、このガチガチをカバーするような姿勢をとっていたのだと思われる。いつからこうだったんだろう?記憶にない。子供の頃からこうだった気がする。
ヨガもはじめて、人並み以上に体を細かく動かせる、と慢心していただけに、自分の中にこんなコリがあって、しかもそれに気付かず呑気に暮らしていた事にショックを受けた。
しかしネガティブに気づくことは、そのまま希望でもある。このコリが解消された時、自分はどうなっちゃうのだろうか。
いつからこうだったか思い出せないくらいだから、そこから抜け出た自分の状態なんて、想像すらできない。
9月頃、果たしてどんな自分がいるのだろうか。楽しみ。
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